別れの伏線
数ヶ月前、初めてできた彼女と別れた。
別れる前、彼女が最近若い女についてよく考えると言っていた。
「あの時ああ言ったじゃない」「ずっと一緒だって言ったじゃん」とか彼女らは言うが、時とともに変わるものだからそういうことを持ち出されても困るよね、とかそんな内容だった気がする。
この頃は彼女の気持ちが僕から離れていっているように感じている時期だった。
今思うと、この発言は伏線だったのかもしれない。
ひとつは、彼女の中には僕に対する気持ちが薄れてきていて、別れを持ち出しても上記のようなことを言うなよという予防線。
ひとつは、私もそういう類のことは言ったけど今はもうそう思っていない、ということを暗に示していた可能性。
まぁ実際別れ話になった時、前者のようなことを僕は言わなかったと思うし、後者のような意味に取れることは言っていたように記憶している。たぶん。だから結果から思い至った伏線なのだが。
こんなこと考えても仕方ないし、事実はわからない。大方僕の勝手なこじつけだろう。
唯一はっきりしたのは、関係が終わったこと。
結末がわかれば、どれも伏線に見える。
だから、あまり伏線だったかどうかは考える意味はないのだろう。
それに、彼女は恐らく、どんな形であれ僕が納得を得られるように最後まで話し合ってくれた。
そのほうがずっと重要なことだ。
恋愛が終わりを迎える時、どちらかが100%悪いということはないとは思うとけど、比率はあって、たぶん僕が八割がた悪かっただろうに。
「別れはプラスにしかならない」
これも彼女がかつて言っていたことである。
彼女の言葉は僕の人生にはないものばかりだった。
僕も感謝の気持ちとともに、この言葉を信じることにした。